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『いまこそ始めよう 外国株投資入門』(尾藤峰男)は米国株ビギナーに好適

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最近、米国株投資を「本格的」に行い始めました。そこで、以前読んだ外国株投資の参考書を再読しました。

本書は、外国株初心者だけでなく、経験のある方も再度「原点」に立ち返って米国株を始めとする「外国株」投資について再考するのに最適な良書です。

まずは、簡単な著者の紹介から。

著者の尾藤峰男氏は元日興證券の証券マンで同証券に21年勤務した後、2000年に「びとうファイナンシャルサービス株式会社」を設立し独立。以来、金融機関から完全独立したFP・資産運用アドバイザーとして活躍。

CFA協会認定証券アナリスト、CFP、日本証券アナリスト協会検定会員という3つの資格を保有し、特にグローバルな投資の分野で造詣の深い方として各種メディアにも度々登場される方です。

本書は7章で構成されていますが、第4章「何が得られるか?心配は?」に本書の要点が集約されていますので、この章から重要な箇所を抜粋して引用したいと思います。

日本だけの資産を持つことのリスク

経営者の株主目線はすぐには変わらない

少子高齢化・人口減少は止めようがない

GDP成長率のマイナス転換は避けられない

・日銀も2020年代にはマイナスに転じると予想
・株式市場の上昇率は、長期ではGDP成長率に収斂

財政赤字を帳消しにするハイパー・インフレに警戒する必要

・外国株に投資することは、資産の実質価値を確保でき、超円安により、日本のハイパー・インフレのリスクをヘッジする(回避する)ことになる

外国株投資は、有力な資産価値の防衛手段

・純粋に経済・財政的観点で見れば、終戦当時の状況に近づきつつあり、このような最悪のシナリオを視野に入れておくことは、必要
・そのための備えとして、日本株だけに投資することのリスクを、外国株投資に一部移転することにより、分散しておくことが重要
・日本株に限らず個人の預金や国債などの金融資産を、外国株だけでなく外債あるいは海外不動産などの外貨建て資産や金にしておくことは、資産の実質価値を確保するという意味で、今後大変大事

日本株には、どの程度投資すべきか

・日本の時価総額(2010年1月末:本書掲載時)は、世界の時価総額の7.6%
・一番わかりやすく投資理論にもかなっているのが、時価総額比率そのままの割合で投資するということ
・筆者としては、日本株と外国株の投資配分の比率は、30:70から50:50というところを、外国株投資を始める水準の目処としたい (下線は管理人が挿入)

外国株投資のメリット

日本にない業種や異なる成長ステージに投資

・日本経済は、エネルギー消費型、原材料・天然資源は海外完全依存・輸入型、製品輸出型経済。成長のステージは、残念ながら成熟・衰退期
・外国株投資は、日本にない天然資源・エネルギー株や日本と異なった成長ステージの国にある産業に投資できる、大きなメリットがある

2000年以降、急速に進む世界経済のグローバル化

・2000年以降、グローバリゼーションは急速。これが意味するところは、産業や業種によって世界の各地域が補完し合っている度合いが非常に高まっているということ
・これからは、米国株、中国株、欧州株にも、日本株と同じように投資して、株式投資に国境はないと考えるべき。企業の本拠地がどの国にあるかは、意味を持たない

増配する企業の配当利回りは、毎年上がっていく

・たとえば、30年前にジョンソン&ジョンソンに投資したときの配当利回りが2.2%であっても、取得時の投資元本に対し、現在の配当利回りは90%を超えています。
・配当金の信頼性が高い外国株に投資することには、このような大きなメリットがある。しかも、これらの企業は、1000億円単位の大規模な自社株買いも、毎年実施

外国株投資は、投資先通貨の為替リスクを大きく減らす

・為替レートは、短期では為替市場の投機的売買や需給関係で動きますが、長期では、二つの通貨の国のインフレ率の差によって決まる。相対的にインフレの国の通貨は安くなる
・一方株式は、このインフレによる通貨安を相殺する方向に働きます。というのは、インフレになると、株式や物、不動産などの価格が上がるからです。
・シーゲルによれば、外国株投資での為替差損は、投資先企業の業績の拡大によって埋め合わせられるとのことです。インフレによる商品価格の値上げの一方で、賃金の上昇は遅れ気味になり、利益率が改善するからです。

個別銘柄のリスクは?

7から8銘柄程度の外国株に投資する

・10銘柄程度を保有すると。80%程度の個別銘柄リスクはなくなる。投資額を均等として日本株の分も含めて10銘柄程度とすれば、外国株は7〜8銘柄ということになる
・業種、先進国・エマージング市場などの地域を十分に分散して、日本を含め10銘柄程度に投資するということが、外国株投資のスタンスとして、筆者が勧める方法
・「もしあなたが、なにか少し知っている投資家であり、企業の経営状態を理解でき、長期的な競争力を有しかつ株価が魅力的な企業を5〜10社見出せるなら、伝統的な分散投資(筆者注:数百銘柄対象のインデックス投資)は、あなたにとって意味がない」(ウォーレン・バフェット:1993年の『株主への手紙』)

国と業種を分散する

モデル・ポートフォリオ
・本田技研工業
・日本たばこ産業
・プロクター&ギャンブル
・コカ・コーラ
・ネスレ
・IBM
・BHPビリトン
・ジョンソン&ジョンソン
・中国人寿保険
・HSBC

銘柄選択のポイント

・世界的に有名な企業
・経営能力の高さ
・強い株主重視の姿勢
・業績安定度の高い銘柄
・割安度
・配当利回り
・現金(フリーキャッシュフロー)を十分に生み出し続けている企業

以上が本書「第4章」の要点になります。

本書には、この他実際の取引方法や情報源に関すること、外国株銘柄12社の紹介、さらには個別銘柄と相互補完する海外ETFに関する内容等必要にして十分な事項が盛り込まれています。

なお、ネット証券での海外株式にかかる特定口座対応が、今は実現しているなど一部内容が古くなっている箇所はありますが、海外株式への投資を行う方であれば読んで損がない本だといえます。

I hope you like it.

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この記事を書いた人
エル

50代、4人家族。1991年株式投資を開始。リーマンショックの影響により過去最高の含み損を抱えるも、2009年末に復元。2011年レバレッジ投資(両建て投資)終了。2019年セミリタイア。現在は米国株を中心に運用中。趣味は読書で「積ん読」は数百冊を誇る。音楽や映画鑑賞も好きです。

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