つばめ投資顧問の「顧問」に就任

『「お金」の考え方』(山崎元・岩城みずほ共著)はお金と人生の解決本

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経済評論家の山崎元氏とファイナンシャル・プランナーの岩城みずほ氏の共著となる本を、岩城氏から献本いただき読了しました。

山崎元さんとは面識はあるものの特に親しい関係ではないですが、岩城さんとは時々食事(お酒も伴うことが多い)もする仲です。

今回、たくさん本を読んでいる私に「率直な感想」を教えてほしいということで本をお送りいただきました。

ブログで取り上げることを前提とした献本ではありませんでしたが、本書はなかなかの良書。喜んで概要や感想等を記事にしたいと思います。

本書の企画経緯

個人にとって「お金の運用はどうすれば合理的なのか」を常々考えてきた山崎氏。「合理的」な物言いは切れ味抜群です。そんな山崎氏ですが、いろいろとお金のことを考えていると、もっと大きな「人生の問題」があることを痛感するようになったそうです。

そこでFPが行っている「相談」に興味が沸きましたが、世の中のFPには金融機関(売り手)に迎合的だったり、スポンサーが付いたセミナーの講師を行う者「腹黒いFP」が多いのが実態。しかし、数少ない?「腹黒くない」FPとして白羽の矢が立ったのが岩城氏でした。

岩城氏自身もFPとして一段と成長する必要性を感じており、誰よりも合理的で説明の分かりやすい山崎元氏との間で納得のいくまで疑問をぶつけたい、とかねがね思っていたことから二人の思惑が一致し出版の運びとなったものです。

お金と人生の問題の本質にズバリ回答

こうした経緯で出来た本ですので、本のタイトルでイメージした単なるマネー本ではありませんでした。

山崎氏が本書「後書き」で言うように、個人が直面するお金の問題は、運用の範囲にとどまるテーマばかりではなく、仕事、結婚、貯蓄、住宅、保険、教育費と多岐に亘り、それぞれが深く関係しています。そして、具体的な問題の多くが「人生観」にも関わる問題でもあります。

本書はともすれば「切れすぎ」の山崎氏の論舌を、転職や育児、恋愛(?)等豊富な人生経験も有するFPの岩城氏が女性ならではの視点から適度にほぐし、人生において避けて通れない人生の重要な問題に対する「程よい」道案内となっています。

第1章は「お金と男と女の話」

山崎氏に劣らず、実は本音トークが持ち味の岩城氏との最初のテーマはズバリ「男と女とお金の関係」。いきなり、山崎氏の考える「いい女の条件10か条」(顔が好き、体型が好き、匂いが好き・・・)や岩城さんの「いい男の条件10か条」(学ぶところがある人、同性から好かれる人・・・)から始まったのには驚きました。でも、この部分がとっても面白かった(笑)。

これから恋愛や結婚を考えている方にも参考になりそうです。また、この章では「人生設計の基本公式」と名付けられた「必要貯蓄」の考え方(公式は省略)が計算例や理論の根拠とともに提示されており、まさに「人生設計」を行ううえで重宝しそうです。(いろいろと前提条件を変えて試算することが重要とのこと)

その他、本書の中で良かった点を少しだけ

本書では、保険と年金や投資、転職や教育費の問題等多くの人の関心事について、曖昧さのない回答案が示されています。著者共通の考え方として、お金の問題でも人生選択の問題でも、解決案が「めんどうくさい」場合、最重要ポイントを外していることが多く、そもそも「役に立たない」という考えを持っており、本書では「『めんどうくさい』をシンプルに!」を標語にしてまとめられています。

以下に本書の中で私が面白かった・ポイントと思われる箇所を一部ピックアップして記しておきたいと思います。

  • どういう男性を選ぶべきか。誠実であること、ウソを言わないこと、能力があること、周囲を元気にするエネルギーがあること、さらには大人として振る舞えること。実はこれはジャック・ウェルチが挙げている採用したい人物の条件(山崎)
  • 夫に満足していて、家族という単位でお互いに幸せになろうとしたら、(妻は)そんなに浪費しないはず(岩城)→うちの嫁もそうです。
  • 「独身でずっと働いている女性にとって、例えば見栄えのいいタワーマンションは、ある意味で夫の代替物」
  • 最近の保険でよく見られる「骨髄ドナー給付金特約」→そんなものがあるのか
  • 生命保険は「人間関係の証券化商品」(山崎)
  • ドル・コスト平均法は、気分的には納得できるけれども、損得で考えると合理的ではない。言わば、根拠のない民間療法のようなもの(山崎)
  • 「ドル・コスト平均法は単にリスクを取るのを遅らせているだけ」
  • インフレヘッジを考える際に大事なのは、将来インフレになると決めつけないことと、インフレを完全にヘッジしようと力まないこと(山崎)
  • じっくりした長期投資というのは、短期の合理的な意思決定の積み重ねの結果、長期的にはあまり動かずにいたというのが、概ね正しい姿。(中略)短期売買が不利なだけであって、長期投資に魔法はない(山崎)
  • (高齢者が考えておくべき問題)最も本質的な問題ですが、判断力や記憶がなくなった場合に対する備えが必要(山崎)
  • (金融商品全般)そもそも、わざわざ個人向けに売られているという時点で、条件がプロの投資家には魅力的でない可能性が大きい(山崎)
  • 金融マンがわざわざ売りに来る商品には、それなりの理由がある
  • 要するに、不動産投資は個人が片手間にやることではない(岩城)
  • (働く人の人材価値)仕事をする能力と、その能力を使って仕事をしたという実績の合計値に、人材価値を使える期間を掛け合わせたもの(山崎)
  • 人生においては、目的意識を明確にして選択する、失敗を恐れない、失敗したら迅速に軌道修正をする、というのが重要(岩城)
  • 人生は賭けの連続ですし、賭けははずれることもある。はずれたときに後悔し自己認識を変えないのはただのバカ(山崎)
  • 取ることができるリスクの大きさを決める主な要因は、財務的に余裕があるか否かであって、投資期間の長さではありません(山崎)
  • 素人が真に有利なのは、「客」という厄介な存在がいない点(山崎)
  • 2年努力してもレベルが上がらない仕事は本人に向いていない(山崎)→御意
  • ビジネスパーソンの仕事の能力上の全盛期は概ね30歳代前半→ヤバい
  • セカンドキャリアとして転職を考えたのは、年齢が問題にならず、知識が積み重ねられる仕事をしたいと思ったから(岩城)

以上です。

本書は冒頭に書いたとおり、切れ味抜群の山崎節を岩城女史が幾分マイルドに調理しています。幅広い読書層にオススメの一冊。

P.S.
本の正式タイトルは『そこ、ハッキリ答えてください! 「お金」の考え方 このままでいいのか心配です。』となっている。長いので、岩城氏の承諾を得て略し紹介しました。

I hope you like it.

人生で起こること すべて良きこと(田坂広志)
キンドルの読み放題で読みました。 著者の田坂広志氏の本は好みで、管理しているツールで調べると本書で12冊目になります。 今回も、いつも同様「深い」内容でした。 以下、例によって個人的に印象に残った箇所をメモとして残しておきます。
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この記事を書いた人
エル

50代、4人家族。1991年株式投資を開始。リーマンショックの影響により過去最高の含み損を抱えるも、2009年末に復元。2011年レバレッジ投資(両建て投資)終了。2019年セミリタイア。現在は米国株を中心に運用中。趣味は読書で「積ん読」は数百冊を誇る。音楽や映画鑑賞も好きです。

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