クラフト・ハインツのユニリーバ買収は成立せず

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先週、私の保有株であるユニリーバ(UL)に対し、米食品大手のクラフト・ハインツが1430億ドル(約16兆1600億円)での買収提案を行っている旨が明らかになりました。

16兆円といいますと日本企業で時価総額がこれよりも大きな企業はトヨタのみ。スケールが日本とは違いますね

この買収提案に対しユニリーバは却下。クラフトが19日に買収断念をユニリーバとの共同声明として発表し、一旦は白紙の状態となっています。

両者の戦略の違い

まず、ユニリーバですがボディケアの「ダヴ」や男性化粧品の「アックス」といったブランドで知られ、日用品では米プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)に次ぐ世界2位。食品でもスープの「クノール」や紅茶の「リプトン」、アイスクリームの「ベン&ジェリーズ」といったブランドを保有する世界大手でもあります。

一方、今回買収を仕掛けたクラフト・ハインツはクラッカー、クリーム、ケチャップなどの世界ブランドを多数持つ企業として有名で、旧クラフト・フーズと旧HJハインツが2015年に統合して発足。クラフトは国際事業(現在の米モンデリーズ・インターナショナル)を切り離して米国内事業を立て直す過程で、ハインツに取り込まれた経緯があります。

HJハインツを保有していたのはウォーレン・バフェット率いるバークシャー・ハザウェイとブラジル系の投資会社3Gキャピタル。この両者がクラフトとの統合の仕掛け人で、今回の「幻の買収劇」でも、昨年成立したビール業界の再編劇(ビール最大手アンハイザー・ブッシュ・インベブが同2位のSABミラーを約11兆円で買収)同様、影の主役だったのではないかと言われています。

3Gキャピタルは過去、何度も「小が大を飲み込むM&A」(今回も該当)を繰り返してきており、「徹底したコスト削減と実力主義、そして資本効率を最大限に高めるM&A」に特徴があります。このため、ユニリーバ側は、大型買収後に工場閉鎖などでコスト削減を急ぐファンド主導のM&A(合併・買収)に強い抵抗感を抱いた模様です。

とはいえ、食品では競合するものの、日用品事業に力を入れているユニリーバと食品に注力するクラフトとは補完関係が期待できるのも事実。再度、ディールが沸騰する可能性もありそうです。

私がユニリーバに持つ印象

ネスレやP&Gなどと並ぶ世界的な生活必需品セクターの企業という認識ですが、以前から本などで新興国でBOPビジネスに積極的に取り組んでいる企業として好意的にみていました。BOPとはbase of the economic pyramid の略で、低所得層を対象とする国際的な事業活動のこと。民間企業と開発援助機関が連携し、収益を確保しながら、貧困層の生活向上など社会的課題の解決に向けて貢献することを指します。

日経「春秋」にも「インドで日用品の最大手は英蘭系ユニリーバの現地法人だ。農村の女性たちに商取引や契約の知識を教え、低所得者も買える値段でせっけんを売ってもらう事業モデルを築いた。現地法人の従業員には一定の期間、農村での生活を義務づけ、地域密着に力を入れている。」と書かれていました。

こうした社会的なビジネスを早くから手がけていることも、当社株式に投資した理由の一つです。


(参考)
日経新聞「春秋」(2017/2/21)

米クラフト、ユニリーバ買収を断念 業界再編の火種残る(日経有料会員限定)

幻の16兆円ユニリーバ買収、仕掛けた影の主役(日経ビジネスオンライン)

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