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『岸田ビジョン』(岸田文雄)を読了

昨日の自民党総裁選において第27代総裁に選出された岸田文雄氏(64)が1年前の2020年9月に出版した『岸田ビジョン 分断から強調へ』を読みました。

岸田氏は10月4日召集の臨時国会で菅義偉首相の後継となる第100代首相に指名される見通しで、総裁任期は2024年9月までの3年間です。(党則は任期を1期3年、連続3期9年までと定める)

著者プロフィール

まず、著者である前に政治家である岸田氏のプロフィールを簡単に確認しておきましょう。
(参考)岸田文雄氏 名門派閥出身、「聞く力」で勝負(日経会員限定)

・1957年7月生まれ(現在64歳)
・通産省から衆院議員に転じた父・岸田文武と母・澄子の長男として東京で生まれる
・祖父も政治家の3代目
・東大から官僚に入るのが当たり前の一族の中で、名門開成高校から東大を3度受験するも果たせず。早稲田大学法学部卒業
・日本長期信用銀行に入行。1987年、5年勤めた長銀をやめて文武氏の秘書になった。文武氏が92年に亡くなると後を継いで93年の衆院選で初当選。池田勇人元首相が旗揚げした名門派閥、宏池会(現岸田派)に籍を置いた。
・2007年、第1次安倍改造内閣で内閣府特命担当大臣として初入閣。2012年宏池会会長に就任。2012年、第2次安倍内閣で外務大臣に就任、専任の大臣としては戦後最長の4年7ヵ月務めた。2017年、防衛大臣を兼任
・2017年8月より、2020年9月まで自民党政務調査会長を務めた。
・2020年の自民党総裁選には、9月1日に岸田派の臨時総会で出馬を表明。結果は内閣官房長官の菅義偉氏に敗れ、2位に終わった。2020年9月11日、初の著書となる『岸田ビジョン 分断から協調へ』を出版。当初は15日に出版する予定であったが、14日の総裁選投開票日に間に合わせるために前倒しされた。

本書概要

政策提言の書

上記経緯・タイミングで出版されており、連続9期選挙区当選、閣僚経験も有する岸田氏の文字通り「政策提言」の書となっています。

今回の自民党総裁選の討論会でも披露された岸田氏の中心となる考えは以下の通り

・日本人の持つ強い団結力、復元力を引き出すリーダーとなりたい。そのためには、何よりも国民の声に耳を傾けたい
・経済における分断、社会の分断、世界の分断を「協調」へ導きたい
・資本主義のあり方の見直し:中間層を産み支える政策、社会全体の富の再配分を促す政策が必要
・人材の重視:リカレント教育を充実
・中小企業、地方、一次産業の活力を取り戻すことが必要。その最大のエンジンとなるのが「デジタル」
・時代に合わせた憲法改正にも果断に挑戦
・平成が終わり、令和を迎えた今こそ、「寛容」「忍耐」「平和」「経済重視」といった宏池会の考え方が必要
・時代は明らかに「集中」ではなく「分散」を要請。地方がそれぞれの地域資源と魅力を活かして発展していくことが求められる

その他メモ

・2020年現在、日本の全国民の平均年齢は47.8歳。インドの全人口中間年齢は28.7歳、アメリカは38.5歳、中国は38.4歳。今後20年で人口が減少していく国は日本含めて世界に6ヵ国しかない
・キャピタルゲインにかかる税率(現在20.315%)について、短期売買の場合にはアメリカ同様に引き上げることも検討に値との考え方
・金融緩和の副作用が最も如実に地方金融機関の経営悪化に表れている
・平成時代の財政:予算規模が60兆円台半ばから100兆円まで大きくなった中で、歳出として増えたのは社会保障費だけ
・外交力も財政に左右される。やはり、国として「財政」という財布に一定の余裕を持つことが必要。そのために財政の健全化を志向することが重要
・今こそ「田園都市構想」
・「国民年金と厚生年金について財政を一元化する、あるいは財政を調整することを考える時期に来ている」
・広島出身者として「核軍縮」がライフワーク。「核軍縮の実質的な進展のための賢人会議」を提案。オバマ元大統領の広島訪問の実現のきっかけとなったケリー国務長官(当時)の広島訪問を持ちかけ実現(戦後初のアメリカ国務長官の広島訪問)
・加藤紘一氏のいわゆる「加藤の乱」に関する記述が多い

第四章「人間・岸田文雄」

たぶん、本書で一番面白いのが、著者の人となりを伝える第四章です。父親が官僚時代にNYに赴任した際、家族で過ごした当時の体験、開成高校での野球、早稲田時代の「課外活動」、長銀での銀行員としての経験などなどです。

読み終えて

私は、今回の総裁選について、珍しく、かなり詳しく選挙戦全般をフォローしていました。この総裁選や本書を読み終える前までの私の岸田氏のイメージといえば、政治家の家系のエリートで、どちらかといえば「クール」な印象でした。

でも、今はとても人間臭い人物であるとの印象です。一部にはその反面「決断力がない」とは言われていますが、著者の強調する「現実主義」と「バランス感覚」でもって、多くの課題を抱える日本を上手に舵取りすることを願ってやみません。

I hope you like it.

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