『日本株を買う外国人 外国株を買う日本人』書評:英国人ファンドマネージャーが鳴らす警鐘と「のろまな投資」の真価

先日、8月19日に発売された話題の新刊『日本株を買う外国人 外国株を買う日本人』(星海社新書)を献本いただきました。日経平均株価が大きな節目を試すような熱気の中で、長年日本株を見続けてきた英国人ファンドマネージャー、リチャード・ケイ氏が投げかけるメッセージは非常に深く、示唆に富んでいます。

日本株を買う外国人 外国株を買う日本人

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リチャード・ケイ 星海社 2026年08月19日頃

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目次

1. 著者・リチャード・ケイ氏の原点と「日本愛」

オックスフォード大学を卒業後、日本興業銀行からキャリアをスタートした著者。彼の原点は1980年代、イギリスの小さな町テルフォードで育った少年時代にあります。

当時、リコーやNECなど日本企業が進出し、クラスの3分の1が日本人になった経験から、日本への興味を覚え、日本の文化を勉強し、オックスフォードで培った「歴史的文脈から物事を捉える力」が後に投資家として活動する上での土台になったといいます。30年以上にわたって企業の現場を歩き、泥臭く観察し続けてきた彼だからこそ言える、情熱と愛の詰まった一冊です。

2. なぜ日本人は自国の優良企業の「オーナー権」を手放すのか?

著者が鳴らす大きな警鐘の一つが、「日本企業の所有権の流出」です。

不動産や土地が外資に買われると騒ぐ一方で、日立製作所(外国人比率50%超)やソニー、任天堂といった日本を代表する企業の所有権(株式)が外国人に渡っていることには無関心な現状があります。

著者は決して外国人を排除せよ(攘夷)と言っているわけではありません。「日本人自身が自国企業の真の価値に気づき、オーナーとしてその成長を享受してほしい」と熱い思いで訴えているのです。

3. データが突きつける衝撃:1990年とのギャップと英国の「11.6%」

本書を読んで特に深く頷かされたのが、提示されたデータの重みと臨場感です。

  • 1990年当時の外国人比率はわずか5%程度 私自身が社会人になった1990年頃と比べると、この30余年で日本の優秀な企業が生み出す利益の多くが海外へ流出する構造へと大きく変化したことを実感させられます。
  • 英国の個人株主比率はわずか11.6% 「日本人は自国株を買わない」と言われますが、著者の母国イギリスでは個人株主比率が11.6%(日本は17.3%)まで低下し、市場全体の多くを外国人が占めています。テニスの全英オープンのように、単に市場の場所を貸しているだけの“ウィンブルドン化”現象です。日本も今まさに、その分岐点に立っています。

4. 「タイパ投資」の時代だからこそ響く「のろまな投資」

「タイパ」「効率化」が叫ばれ、数秒単位の価格変動に一喜一憂する「速さ中毒」の現代において、第4章で語られる「のろまな投資のすゝめ」は本質を突いています。

ウォーレン・バフェットの「誰もゆっくりお金持ちになりたくないからだよ」という言葉通り、時間はコストではなく資産を育てる「不可欠な栄養素」です。

他人の時計に合わせず、自分が腹の底から納得するまでじっくり観察し、未完成な企業が変化し続けるプロセスを楽しむことこそが、株式投資の本質と言えます。

5. コムジェストの投資基準と41の厳選銘柄

著者が所属する「コムジェスト」には、全員の共通言語とも言える明確な投資基準があります。

それが、「10%以上の利益成長を、5年間にわたって継続して実現できる企業」というクオリティグロースの定義です。

一時的な流行や追い風ではなく、どんな市場環境でも休まず走り続けられるタフな企業——。

本書の第5章には、この厳格な基準を満たす具体的な41社の保有銘柄がリストアップされています。(実は、私自身が投資している銘柄も複数含まれていました)

どのような企業が「本物」として選ばれているのか。知りたい方は、ぜひ本書を手にとって確かめてみてください。お楽しみに!

I hope you like it.

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