「資産が1億円を超えたけれど、急な出費用に現金をどこまで確保しておくべきか悩ましい」 「せっかく形成したポートフォリオを、税金(譲渡益課税)を出してまで切り崩したくない」
そんな富裕層や中上級投資家の方に、ぜひ手に取っていただきたい1冊があります。それが『人生100年時代のローン活用術――有価証券ポートフォリオを活用した戦略的借入の実践』(トーマス・J・アンダーソン著/木村賢治監訳)です。
本書の冒頭には、はっきりとこう書かれています。
「本書は、万人のための本ではありません」
元々は自宅を除く純資産が100万ドル(約1.6億円)を超える富裕層向けに書かれた本であり、すでに十分な投資可能資産を保有している(あるいは将来的に目指している)層に特化した、極めて実戦的な「負債活用哲学」の書なのです。
すでに資産を築き上げた「億り人」の投資家こそ、なぜ本書の戦略を検討すべきなのか。その中核となる「借入利用の4つの強み」と具体的な実践法を解説します。

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トーマスJ.アンダーソン/木村賢治 金融財政事情研究会 2020年03月
億り人が手に入れる「借入利用の4つの強み」
世間一般では「借金=悪」「無借金こそ正義」と言われがちですが、一定以上の資産を持つ投資家にとって、適切な負債は資産防衛と効率化のための強力な武器になります。
本書では、戦略的な借入がもたらすメリットとして以下の「4つの強み」を挙げています。
1. 流動性の向上(容易に現金へアクセスできる)
十分な有価証券ポートフォリオを持つ投資家は、それを担保にすることで即座に現金へアクセスできる「流動性クッション」を手に入れられます。
2. 柔軟性の向上(予期せぬ困難への選択肢が増える)
自然災害、市場の大暴落、事業資金や予期せぬ大きな支出が必要になった際、保有する株式や投資信託を無理に売却することなく柔軟に対応できます。
3. レバレッジの引き上げ(富の蓄積を加速させる)
適切なコストで資金を調達し、それを上回る利回りで運用を継続することで、好況期における富の蓄積スピードをさらに高めることができます。
4. 持続可能性の強化(資産と生活水準を守り抜く)
急な現金ニーズに対して資産を底値で売却するリスク(シーケンス・オブ・リターン・リスク)を回避し、生活水準の低下や財務的ピンチから家族を主体的に守ることができます。
著者によれば、これらの強みは「すでに相応の富を蓄積しているあなたに、本来備わっている潜在的な力」なのです。活用しない手はありません。
実践解:なぜ「株を売る」のではなく「有価証券担保ローン」なのか?
資産家が急な資金ニーズ(不動産購入、事業投資、税金支払いなど)に直面した際、多くの人が「保有している株や投信を売却して現金を作る」という選択をしてしまいます。しかし、これには大きなデメリットが存在します。
- 譲渡益課税がかかる(運用効率の低下)
- 複利効果が途切れる(将来生み出すはずだった配当や値上がり益の放棄)
- 売るタイミングを選べない(市場が暴落している時期に売却せざるを得ないリスク)
そこで本書が提案するのが、有価証券担保ローン(SBL)の活用です。
有価証券担保ローンの圧倒的なメリット
- 手数料・事前コストがゼロ 金融機関で借入枠を設定する手続き自体には費用がかかりません。
- 「使わなければ金利ゼロ」で枠だけ保持できる 枠だけ作っておき、実際に資金を引き出すまで金利は1円も発生しません。まさに「無料で持てる最強の保険(流動性クッション)」です。
- 定期的な返済義務がない 一般のローンのように「毎月一定額を返済する」という縛りがなく、自身のペースで管理・調整が可能です。
株式や投資信託はそのまま保有して運用(配当や値上がり益)を継続しつつ、低金利で流動性だけを確保する――これこそが、欧米の富裕層やプライベートバンキングで実践されているB/S(貸借対照表)思考のファイナンス技術です。
まとめ:「資産を守り、滑らかに使う」フェーズに入った貴方へ
本書は、これから資産をゼロから作るための本ではありません。「勝ち取った資産をどう守り、どう効率的に活用して人生の持続可能性を高めるか」を追求した一冊です。
日本でも野村Webローンをはじめ、有価証券を担保にした低金利な借入サービスが整ってきています。
「億り人」となり、ポートフォリオの運用益で資産が増えていくフェーズに到達した投資家の方こそ、ぜひ本書を手に取り、ご自身のバランスシートに「戦略的借入」という強力な武器を組み込んでみてはいかがでしょうか。
I hope you like it.
