確定拠出年金の制度改正が進み、確定給付年金(DB)のある会社員にもiDeCoの門戸が開かれたのが2017年1月のことでした。
当時、現役で仕事をしていた私は「所得控除で税金が安くなるなら使わない手はない」と考え、制度の解禁と同時に加入しました。
あれから歳月が流れ、来年には還暦を迎え、さらにその1年後には加入期間が10年に達します。今回は、制度に振り回されながらも学んだ節税のリアルと、解約前に掛け金を最低限に絞ったわが家の最終出口戦略についてお話しします。
1. 2017年、DB解禁と同時にiDeCoへ突入した理由
高収入の現役時代こそ「節税」の威力が大きかった
加入を決めた一番の理由は、やはり拠出時の節税効果です。
iDeCoの掛け金は全額が「小規模企業共済等掛金控除」の対象になります。当時は現役で所得も高かったため、所得税率が高い層ほどこの控除の恩恵をダイレクトに受けられます。
預け入れた瞬間に確実な節税メリットが得られる仕組みは、当時の私にとって魅力的でした。DB加入者への解禁を知ったときは、迷わず手続きを進めたものです。
2. 「高収入時は上限が小さく、退職後に上限が増える」というジレンマ
掛け金上限の変遷(1.2万円 → 6.8万円 → 7.5万円)
私のiDeCoにおける掛け金上限枠の変遷は、以下の通りです。
- 2017年(会社員・DB加入時代):月1.2万円(年14.4万円)
- DB加入者は最も低い枠に制限されていました。
- 2019年〜現在(退職後・フリーランス/第1号):月6.8万円(年81.6万円)
- 退職により国民年金第1号へ変更され、上限枠が大幅に拡大しました。
- 2026年12月以降(最新改正):月7.5万円(年90.0万円)
- 制度改正により、拠出枠がさらに月7,000円引き上げられる予定です。
訪れた皮肉なジレンマ
一番税金を納めていて、控除の恩恵をフルに活かしたい現役時代に限って、積み立てられる枠はわずか「月1.2万円」と非常に厳しく制限されていました。
そして2019年に退職し、フリーランス(第1号)となったことで上限は「月6.8万円」へと大幅に広がりました。しかし、ここで皮肉な逆転現象が起きます。
退職して現役を退いたため、課税される所得がほとんどなくなってしまったのです。
iDeCo最大の売りである「所得控除による節税効果」は、納める税金があって初めて生きてくる仕組みです。枠が広がった(さらに2026年12月には7.5万円まで広がる)タイミングで、今度は控除を使うための所得が事実上存在しないというジレンマに直面することになりました。(今でも確定申告において各種控除の合計が余っている)
3. 還暦と「10年ルール」を見据えた出口戦略
来年で60歳、そして10年経過へ
月日が経つのは早いもので、来年には還暦を迎えます。そしてその翌年、2028年にはiDeCoへの加入期間が通算10年を達成する見込みです。
60歳から資産を引き出すには通算加入者等期間が10年以上必要というルールがありますが、これでいつでも好きなタイミングで全額解約(一時金受取など)ができる条件が整います。
全額解約(出口)のカウントダウン
退職所得控除の枠など制度その時点の制度も確認・考慮しながら、具体的にいつ、どのように満期解約を迎えるかという最終的なスケジュールを組み立てる段階に入りました。
長年、運用益非課税の恩恵を受けながら育ってきた資産の「出口」が、いよいよ見えてきたと感じています。
4. 解約直前に掛け金を最低額に絞った理由
いまさら無理に積み立てる必要はない
節税効果が小さくなっている現状で、広くなった枠(月6.8万円や将来の7.5万円)を無理に使って拠出を続ける理由はもうありません。
掛け金拠出のため、既存資産を売却したり、証券担保ローンを借りてまで投資するよりも、手元での流動性を確保しながら、解約のタイミングを静かに待つ方が合理的です。
月5,000円の最低設定で静かに「その時」を待つ
そこで先日、iDeCoの掛け金を制度上の最低金額である「月額5,000円」まで減額する変更手続きを行いました。
加入資格と運用口座はそのまま維持しつつ、全額解約を迎えるまでの間に無駄な資金拘束を避けるための最終調整です。
まとめ:iDeCoは「入口」だけでなく「どう出口を迎えるか」
制度の変遷や自分のライフステージの変化によって、iDeCoとの付き合い方は大きく変わりました。
現役時代の節税目的でスタートしたiDeCoですが、退職を経て、最後は還暦と10年ルールを見据えた出口戦略へとシフトしてきました。
投資制度はただ枠いっぱいまで使い続けることだけが正解ではなく、収入や年齢に応じて柔軟に設定を見直していくことが大切だと実感しています。
10年経過の全額解約に向けて、まずは第一段階の準備が整いました。
P.S.
Xで資金使途の質問を受けました。答え:「使います。」
I hope you like it.

