つばめ投資顧問の「顧問」に就任

ヴィーバ・システムズ(VEEV)に投資しました。

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製薬・ライフサイエンス業界向けにクラウド・ベースのソフトウェア・ソリューションを提供する会社であるヴィーバ・システムズ(Veeva Systems Inc.)に投資を開始しました。

事業内容

2007年にクラウドベースのソフトウェア企業として創業されたヴィーバはライフサイエンス業界向けに開発されたクラウドベースのVeeva CRMを中核として成長してきた会社です。アメリカのサンフランシスコ近郊プレザントンに本社があります。(2013年にNYSEに上場)
創業者のPeter Gassner CEOはSalesforce(CRM)出身で業務上もセールスフォースと最も深い関係にあります。

Veeva CRMは、製薬業界に特化したクラウドベースのCRM(Customer Relationship Management)とCLM(Closed Loop Marketing)の機能が融合されたソリューションで、医療情報担当者(MR:Medical Representative)の業務簡略化、医療従事者のマルチチャネルのKPIデータの収集・把握や、医療従事者ごとに適切なマーケティング戦略の立案に役立てることが可能となっています。

創業当初はVeeva CRMだけだった製品も、今やライフサイエンス領域全般に広くサービスを拡張。

その切り札がVeeva Vaultで、製薬企業特化の初のクラウドベース・コンテンツ管理システムです。

Veeva Vaultは、規制、臨床、品質、医療、営業向けのライフサイエンス業界特化アプリケーションで、規制文書の効率的管理、臨床試験・治験業務・臨床データ・規制当局のやり取りや申請書類などコンテンツ管理プラットフォームとアプリケーションを提供しています。

製薬業界はひとつひとつのリサーチや臨床のステップをきちんと記録・コンプライアンスをしていくことが求められる業界です。

それらのペーパー・ワークを全部オンラインに移行して、ルールに基づいて記録するプラットフォームを提供しているのが当社です。一度ヴィーバ・システムズのサービスを採用すると、「使わない」という選択肢はありません。非常にスティッキーで一度顧客になったら離れないという有用なビジネスと言えます。

いわゆるサブスクリプションモデル(定期購買)のSaaS銘柄となります。

<ニッチなマーケット>
クラウドサービスを提供する市場では多くの企業が競合していますが、ライフサイエンス業界の顧客関係管理(CRM)サービスというニッチ分野ではヴィーバが圧倒的な位置にあります。

14年前の創業以降、クラウドベースのプラットフォームを提供することによって、バイオテクノロジー企業や製薬会社が顧客関係を維持し、データを保存および分析し、業界の規制や臨床試験をフォローするのを支援してきました。

そうした先行者としての優位性によって、顧客企業はファイザーやノバルティス、メルク、グラクソ・スミスクライン、ギリアド、アムジェンなど世界最大級の製薬企業から新興バイオテクノロジーまで165ヵ国1,000社以上の企業が顧客となっており、小規模企業から大企業までそれぞれの規模に適したソリューションを提供しています。製薬業界およびライフサイエンス業界の約8割の企業が当社のシステムを利用しており、圧倒的な存在感を示しています。

これら全ての医薬品メーカーの間で激しい競争が行われていることから、ヴィーバのサービスに対する需要は増加を続けています。なお、製薬業界の有力企業の本社のある場所が欧米であることから、地域別売上高の約8割は同地域となっています。

ほかにもライフサイエンス企業向けのCRMサービスを提供する企業はありますが、フォーチュン500企業におけるヴィーバの顧客基盤を考えれば、当社がこの高成長市場の支配的なプレーヤーであるといえます。

なお、ヴィーバは2015年に、ライフサイエンス業界向けにコンテンツ・コンプライアンスおよび商業デジタルコンテンツ管理ソリューションを提供する企業Zinc(ジンク・アヘッド)を買収し、Vault PromoMatsに統合しています。

<高い営業利益率>
当社のようなクラウドサービス企業は、一般的に売上高継続率、すなわち既存顧客1社当たりの前年比売上高増加率でサービスエコシステムの定着度を計測します。

この数字が100%を超えれば、既存顧客を維持し、さらに多くのサービスを併せて売り上げていることを意味します。

ヴィーバの売上高継続率は2019年が122%、2020年が121%でした。

一方、調整後営業利益率は2021年度に2.5%ポイント上昇して39.8%となり、2022年第1四半期はさらに前年同期比で3.3%ポイント上昇して41.8%となりました。

パンデミック中のコスト(出張費など)減少が貢献したのは確かですが、売上高維持率が高く、営業利益率が上昇を続けていることから、このニッチ市場において当社が依然として大きな価格決定力と規模を有していることがわかります。

<業績>
なお、直近の第1四半期(2021年2-4月)の決算は好調そのものです。

売上高は前年同期比29%増の4億3,360万ドルで、予想を2,350万ドル上回りました。

調整後純利益は同40%増の1億4,690万ドル、1株当たり利益(EPS)は0.91ドルとなり、こちらも予想を0.13ドル上回りました。

<パブリック・ベネフィット・コーポレーション(PBC)>
2021年2月、上場企業として初めての「Public Benefit Corporation」(パブリック・ベネフィット・コーポレーション、PBC、通称B-Corp)に転換しています。

「パブリック・ベネフィット・コーポレーション(PBC)」とは、各州の法律に基づき、利益を追求しながら、より良い社会のために活動する企業を法的形態として採用するもので、米国では30州以上の州で法案が可決されています。PBCは株式会社形態を基礎として、定款に当該会社がPBCであることの記載が要求されます。PBCの代表的企業としては、クラウド・ファンディングの「キックスターター」や、登山用品の「パタゴニア」などが挙げられます。

投資判断

企業内で使われるプラットフォームは長く使われれば使われるほどスイッチングコストがかかります。

特にヴィーバが提供するようなプラットフォームには、これまで蓄積したデータが詰まっているためさらにそのスイッチングコストは上がります。

これまで貯めたノウハウを捨ててまで新しいツールを導入するのは、企業にとってはそれなりに大きな決断になります。

これは投資家が大好きな”モート(堀)”となり、ヴィーバの強みと言えるでしょう。

<長期投資でのバリュエーションは妥当>
予想ベースの株価収益率(PER)は113倍であり(本投稿時点)、一見するとヴィーバの株価は非常に割高に見えます。投資家の多くはこの時点で投資対象から排除するかもしれません。

しかし、PERは2013年後半の新規株式公開(IPO)のときから高水準にあり、当銘柄はすでにIPO以降で10数倍のリターンを生んでいます。

当社の収益性は高く、私が重視する営業利益率は約26%、営業CF比率も約38%と申し分ありません。

また、創業からまだ若い企業であるため、利益をどんどん上げていくというよりは、顧客基盤維持・拡大のための先行投資などにお金を使っていくフェイズにあり、上場以来、配当は出していませんが、上記の通り収益性やCF創出力には全く問題がありません。

したがって、初心者向きではありませんが、2026年度までに売上高倍増を目指していることなども併せて考えますと、強固な顧客基盤とビジネスモデルを誇る当社株のバリュエーションの高さには、一定の合理性があると判断し、長期目線で投資することとしました。

I hope you like it.

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この記事を書いた人
エル

50代、4人家族。1991年株式投資を開始。リーマンショックの影響により過去最高の含み損を抱えるも、2009年末に復元。2011年レバレッジ投資(両建て投資)終了。2019年セミリタイア。現在は米国株を中心に運用中。趣味は読書で「積ん読」は数百冊を誇る。音楽や映画鑑賞も好きです。

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