珍しく投資本の紹介が続いています。
昨日読み終えた本について、早速ブログで取り上げたいと思います。
著者プロフィール
・現在も会社員の投資家。高校生の頃から株式投資を始めて、投資歴は約30年
・当初は短期トレード主体だったが、伝説のファンドマネージャー・ピーター・リンチの本に出会い、投資スタイル一変。2008年から日本株の個別株厳選でバイ&ホールドを実践している。
・なお、全体の資産は数億円だが、ブログ用に2008年から専用口座で100万円からスタートした運用残高は2021年9月6日現在2,842万円と28倍になっているという。
本書概要
フィデリティで旗艦ファンドを運用していたピーター・リンチのことは、個別株投資をしている人であれば、まず殆どの人が名前は知っているでしょう。彼は投資アイデアは身近なところに転がっており、自分が利用・消費している製品・サービスを提供している企業への投資(「素人投資家ならではの割安成長株投資」)を個人投資家には推奨しています。
しかし、彼が活躍したのは今から30年以上前の米国のこと
なので、ピーター・リンチの手法に学び彼と同等のリターンをあげた著者が「日本人が書いた現代版の解説書」を書いて差し上げましょうというものです。
実は著者には本書と同じ日経BPから投資本が過去に2冊出ており、私は両方とも読了しています。最初の『エナフン流株式投資術』(参考:2018年10月に読んで良かった3冊)はピーター・リンチ流の投資を著者が解釈し直して、全体を網羅的にまとめた初心者のための入門書の位置付けのもの
そして、次の『エナフン流VE投資法』では、その最も重要な考え方を具体的にまとめたものとなっており、奥山氏曰く「(この2冊と)さらにピーター・リンチの2冊を読めば、個人投資家がバイ&ホールドで勝つためのほとんどのノウハウが手に入る」としています。ちなみに2冊目のポイントは以下の通り
原則1:2倍高以上を狙える株のみ買う
原則2:3〜5年の長期保有
原則3:5〜10銘柄に集中投資する
原則4:先の明るい企業だけに投資する
原則5:ボーナスポイントになりそうな材料を探す
しかし、現代ならではの「情報との付き合い方」については、本書で補強してやる必要が生じたので、この部分にかなり紙幅を割いた本書を出版した形です。
私の感想など
第1章「情報との付き合い方」から読み始めると、本の2/3(146ページ)までは、SNS掲示板のワナだったり、行動ファイナンスのことだったり、人間心理に関することなど著者自身の言葉を借りれば「心構え的な説明」が続きます。
正直、私にはこの箇所はあまり得るところがありませんでした。
強いてマーカーを引いた箇所は
・ある情報が重要であればあるほど、かつ、曖昧であればあるほど、デマや噂が広がりやすい
・予想のコツは「幅を持たせること」(「バイ&ホールドで勝つための4つのポイント」の一つ)
くらいでした。
別におかしなことが書いているわけではなく、まぁ、十分知っていることばかりだということです。
そんな中で、第5章:長期投資は「バイ」ですべてが決まる、以降は少し興味深く読めました。
理想的な企業を探し続ける
長く投資をして、投資に慣れてくると、やらなくてもいいのに敢えて難しいこと、脇道にそれた銘柄探しをしたりします。
暴落した銘柄の「株価」だけに釣られ投資して失敗するとかですね。
でも、やはり「良い企業」に投資することの重要性を再認識しました。
極論を言うと、長期投資は「バイ」ですべてが決まる。良い株を買いさえすれば、あとは何もしなくても、その企業があなたを大金持ちにしてくれるのである。
あと私に響いたのは「5のルール」=最高の5銘柄に絞る、の箇所です。
著者は投資先企業を5つ程度に絞るということをずっと実践してきたそうです。
結論から言えば、私はたぶんこの手法は私の今のステージから採用することはありませんが、「とにかく自分が納得できる最高の銘柄だけで構成するようにする。」の精神は、なるべく尊重していこうと思います。
なお、投資額に関する考え方としては
考え方1:実力に応じて投資額を増やす
考え方2:チャンスに応じて投資額を増やす
が書かれていましたが、これは「誰もが」採用すべき考え方ですね
株式投資はほぼギャンブルである。ギャンブルでは、「どこに賭けるか」と同等かそれ以上に「いくら賭けるか」が重要な要素となる。
以上、冒頭に書いた通り「心構え的な説明」が中心の本です。
投資指標の解説などはほとんど出てきませんが、改めて「大事な」考え方を再認識させてくれる。そんな本でした。
I hope you like it.