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著者プロフィール
著者のモーガン・ハウセル氏は、アメリカ在住の現役のベンチャーキャピタリストでありながら、ウォール・ストリート・ジャーナル紙などに記事を寄稿する気鋭のコラムニスト
ベンチャーキャピタルに勤務しているので、当然、お金周りには詳しいが、個別株投資からはすぐ足を洗い、経済観の合う妻と身の丈にあった生活を送っている。
その投資戦略(全てインデックス投資)が頼りにしているのは「高い貯蓄率」「忍耐力」、「世界経済は今後数十年にわたって成長を続ける」という楽観主義の3点
本書概要
原題は『The Psychology of Money』:Timeless Lessons on wealth,greed,and happiness
となっており、経済的成功のカギは「ソフトスキル」であり、お金の使い方は机上の電卓で簡単に計算できるようなものではなく、「人間心理」から学べる。というのが、著者のコアのメッセージとなっている。
本書(全部で20章)は、単なるお金の知識ではなく、より良い人生を生きるための知恵と呼ぶに相応しい読み物となっており、各章は独立しているので、少しずつゆったりと読むと良いだろう。
エルがマーカーを引いた箇所(一部抜粋)
・分析の結果、人々の生涯にわたる投資判断は、その人が同時代に経験したこと、特に成人して間もない頃の経験に大きく左右される
・知性でも、教育でも、教養でもなく、「いつ、どこで生まれたのか」という偶然の要素が投資の判断を左右していたのだ。
・ある集団の人々にとっては「白か黒か」と言える明確なテーマでも、土台となる経験が違えばまったく異なる意見を持ち得る
・「感動的なほどの大胆さ」と「愚かなほどの無謀さ」の差は紙一重であり、しかも後になって初めてわかる
・動き続けるゴールポストを止めよ
・投資の最重要アドバイスは「黙ってじっと待て」
・お金を得ることと、それを維持することは別物
・優秀な人が大失敗するのは、たいてい傲慢さが原因
・人間に幸福感をもたらす信頼性が高い要因は、「人生を自分でコントロールしている」というはっきりとした感覚があること
・金融株は1976年まで米国の代表的株価指数「S&P500」に含まれていなかった。
・人は未来の自分をうまく想像できない
・バブルは、長期的な投資家が、自分たちとは別のゲームをしている短期的なトレーダーを参考にして投資をし始めたときに有害になる。
・投資においては、「自分はどれくらいの時間軸で投資をしようとしているかを忘れず、別のゲームをしている他人の言動に惑わされないこと」ほど大切な考え方はない。
・力強く前進する楽観主義は気にかけられないのに、瞬間的に起こる悲観主義は広く行き渡る。(略)つまり投資においては、成功の代償(長期的に実現される成長の過程で起こる変動と損失)を見極め、それを支払う意思を持たなければならないのである。
・「私の人生への期待は、21歳のときにゼロになった。それ以来、身に起こるすべてはボーナスみたいなものだ」(21歳で半身不随となり、言葉を発せらなくなった理論物理学者のスティーブ・ホーキング博士)
・自分や他人を評価するときは、「何事も、見かけほど良くも悪くもない」と肝に銘じよう。
・貯金とは、「収入からエゴを差し引いたもの」
・投資で結果を出すための最大の秘訣は、時間軸を長くすること
最後に以下の言葉が響きました。
「真の成功とは、ラットレースから抜け出して、心の平穏のために生きることである」
以上です。
読み手によって、興味・関心を引く箇所は違うと思いますが、たぶん読んで損のない一冊
I hope you like it.