2005年に発刊されたベストセラー本の改訂版を読み終わりました。
著者は企業用システムのプログラマーを行う傍らで、書籍のイラストや執筆も行う「きたみゆうじ」氏
本書は出版以来、細かい修正を毎年重ねているうちに注釈が増え読みにくくなったことから、あらためて「わかりやすく」再構成・加筆修正を行い令和改訂版として今年11月に出版されたばかりの本です。
どの様な読者が読むべきか
本というのは、本書に限らず「読み手の知識・経験・趣向などに適合しているか否か」によって、評価・満足度が大きく影響を受けます。
Aさんにとっては「今年ナンバーワンの名著だ!」という本がB氏には「使っている用語がさっぱりわからん。途中で投げ出したい」となるわけです。
なので、本書も読み手を「選ぶ」と言えます。
まず、結論から申し上げると私には「ピッタリ」でした。
本書が想定する読者は
・サラリーマンではない(もしくは辞める予定がある)
・私の様な雇われ人ではない生き方を模索している人
・ただし、既にフリーランスで一定程度経験を持っている人は既知のことが多いと思われるので、あまり読む必要はない
といった感じでしょうか。
概要
<第1章>
・税金全般の基礎的な説明。所得税・住民税、超過累進課税制度、扶養控除・配偶者控除、青色申告・白色申告・・・など基本的な内容です。
<第2章>
・社会保険の話。健康保険・年金保険・国民健康保険、国保組合、小規模企業共済といった言葉が出てきます。
<第3章>
・記帳業務の話。家計簿に相当する業務です。ここからは、知っている・知らないというよりも、やったことがある・ないの話なので私も未経験の分野です。
・青色申告と白色申告を分かつ境界線は「記帳水準」にあり、具体的にどの精度で記帳したり、領収書を管理しないといけないかを実務的に説明しています。
・「どこまで経費計上していいの?」「勘定科目の区分けはどこまできっちりする必要があるの?」といった疑問にも答えてくれます。
<第4章>
・この章は「青色申告」について詳述しています。これを適用してもらうためには「いつ」「何を」「どこに」提出するべきなのかから始まって、青色専従者給与、源泉徴収義務、平均課税制度などまでカバーしています。
<第5章>
・ここは消費税に関する章です。納税義務の境目、課税取引・非課税取引、簡易課税制度、いわゆるインボイス制度(適格請求書等保存方式)などの必須知識の説明となっています。
<第6章>
・ここの章のタイトルは「いずれは見すえる法人化」:事業規模が大きくなってくると法人を設立した方が税金の面などで得になってきますが、その損得を分ける規模の目安などの説明です。
<第7章>
・最終章は「税務調査」の話。本書によれば、税務署はおよそ個人の所得税なら1%、法人だと6〜7%に対して実際に調査に入るそうです。調査の「実際」、税務調査の後始末(修正申告・更生など)について、勘所を説明
その他
・冒頭に書いた通り、現在サラリーマンで当面仕事を続けるような人は読む必要はありませんし、上記で出てきた用語の意味がよくわかる人も読む必要はないでしょう。
・ただ本書を読めば、青色申告を適用し、例えば家族に対し青色専従者給与を払うことはどういうことなのかなど、基本的なことをおさえておきたい私の様な人にとつては、まさに好適な本でした。(現時点で家族を雇用する予定はありません。念の為)
I hope you like it.