つばめ投資顧問の「顧問」に就任

いわゆる「優待投資」について物申す

この記事は約5分で読めます。

9/11の日本市場で象徴的な出来事があったので、日本株投資における優待について、今回は取り上げたいと思います。

すかいらーく株式が優待「改悪」により暴落

外食大手すかいらーく(3197)は9/10の市場クローズ後、「株主優待制度の変更に関するお知らせ」をリリースしました。

<株主優待制度変更の理由>

このたびの新型コロナウィルスの影響により不透明な経営環境が続く中、当社では 持続的成長の追求を優先事項ととらえ、収益構造改革の一環として株主優待制度のあり方を慎重に検討した結果、株主優待制度を変更した上で継続させていただくことといたしました。

<変更の内容>(詳細はリリース参照)
食事券の贈呈
100株〜299株:年間6,000円→年間4,000円
300株〜499株:年間20,000円→年間10,000円
500株〜999株:年間33,000円→年間16,000円
1000株以上:年間69,000円→年間34,000円

株数により違いがありますが、概ね「半減」というかなりの改悪です。

当社の場合「すかいらーくグループの様々なブランドでのお食事をお楽しみいただき、当社への理解をさらに深めていただくことを目的として株主優待制度を導入」していますが、今回の変更自体の経営判断の是非までは踏み込まないこととします。

株式市場の反応

プレスリリースを受けて、最初の取引となった本日、すかいらーく株式は終値1,521円(▲163円)と9.68%安となりました。一時は13%安の暴落といっても良い投げ売りの状態となりました。

しかし、この株式市場の反応はどうでしょうか?

例えば、優待の改悪度合いが比較的少ない100株株主の場合、優待での減少額は2,000円です。一方、株価の方は100株保有の場合で16,300円の目減り。優待での経済的な便益の減少を遥かに上回る株価の反応です。

私は正直この株式市場の反応を見て「馬鹿か?」と感じました。

私の「優待投資」に係る考え

「優待目的」の投資はしない

では、ここから個人的な考えを述べてみたいと思います。まず、優待に「専ら」期待して投資することを「優待投資」と定義し、私はこの様な投資は「原則」として行っていません。なぜなら、今回のすかいらーく株式と同様なことが容易に想定されるからです。そして、何よりも投資先の事業や経営などの中身を見て、キャピタルゲインと配当含めたトータルリターンが大きく見込める先への投資が本来の投資だと考えるからです。確かに「優待」も「優待利回り」という言葉がある様に、実質的な配当扱いするのをよく目にしますが、あくまで「その会社がどの様な会社であるか」を重視して投資するのであって、優待を投資先選びの基準にすることは私はありません。(結果的に優待が付随していたという感覚)

なお、優待を毎年もらえる楽しみが長期保有のインセンティブになっている!という投資家も多く、その考えを否定するものではありません。あくまで「私」の考えです。

「優待制度」は日本独自で批判も多い

日本では当たり前の「優待制度」ですが、国際的には珍しく、大々的に行っている国は日本しか聞いたことがありません。そして、国内の投資家と違って海外から投資する投資家には優待は届けられず、国内外の投資家の間で不平等が生じており、この点を否定的に捉える意見も昔からあります。

企業関係者の負担にもなっている

近年、減りつつありますが金融機関や事業法人共に取引先の株式を取得して安定保有(「持ち合い株式」や「政策株式」などと呼称)することが昔から行われています。

その株式がもし優待がある場合、受け取った企業は、それを換金できるものは極力換金するなどの処分をすることが一般的に行われています。これが数銘柄くらいだったら良いですが、大きな企業の場合、何十(金融機関の場合はもっと多い)の銘柄になり、これを自社で処分するとなると大変な労力となります。(保有株数が多いところは外部の業者などに委託しているのでしょうね)

環境にも悪い

昨今、企業は紙の郵送削減などエコロジーを意識した取組みを進めていますが、多くの優待は「優待券」「クオカード」「お米」あるいは自社製品などが多く、株主あてに郵送で届けられるものが多くなっています。

これが、毎年、全国の株主までトラックなどを使って配達されるのは、今日的にあまり褒められたものではありません。

優待を廃止してその分配当を増やして欲しい

上記の通り、優待制度に関しては「優待券」などの額面のコスト以上の付帯コストがあります。そのため、もし優待を廃止すれば配送料なども企業にとっては削減できるので、私だったらその分含めて配当を増配して欲しいです。優待と違い「お金」の使い途は自由であることも魅力です。(いや、投資先の製品だから、投資先の理解にもなって良いんだ!という意見があるのは理解できますが)

優待変更・廃止リスク

今回のすかいらーくの様に、新型コロナウィルスの影響により不透明な経営環境が続く中、収益改善策の一環などで優待の変更を行う企業は増えてくることが予想されます。その際、優待変更に見合った株価の下落にとどまるのであれば、まだましですが、過剰反応も大いにありえるので、私としては「優待期待銘柄」は要注意だと考えています。

少しイメージするだけでも、大手小売、その他金融の会社など、もし優待に大幅な改悪があった場合、株価が大きく下げそうな会社が浮かびます。

でも、もらえると嬉しい

以上、優待に関してネガティブなことを書いてみましたが、実際に優待で会社の製品やクオカードなどが自宅に届くと、大変嬉しくなります。嬉しいに決まっていますよね(笑)

I hope you like it.

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この記事を書いた人
エル

50代、4人家族。1991年株式投資を開始。リーマンショックの影響により過去最高の含み損を抱えるも、2009年末に復元。2011年レバレッジ投資(両建て投資)終了。2019年セミリタイア。現在は米国株を中心に運用中。趣味は読書で「積ん読」は数百冊を誇る。音楽や映画鑑賞も好きです。

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