私はこれまで、McIntosh MA7200というプリメインアンプを使ってきました。
その魅力は、言うまでもなくあのゆったりとしたエネルギー感と、どっしりとした駆動力。
特にB&Wのような駆動にコツのいるスピーカーをしっかりと鳴らせるという点で、安心感がありました。
「この音の余裕、どこかで“情報”や“ニュアンス”を包み隠していないか?」と──。
MA7200からLUXMAN L-507Zへ。音の「姿勢」が変わった
そんな迷いの中で出会ったのが、LUXMAN L-507Z。
(製品HPへのリンク)
かつて L-590A を愛用していた私にとって、ラックスマンの音にはどこか懐かしさがある。
でもこの L-507Z は、過去のイメージにとどまらず、明らかに新しい音楽の提示をしてくれました。
音像は立体的で、スピード感と質感のバランスが絶妙。
音楽全体の“空気の振るえ”のようなものが聴こえるのです。
MA7200の重厚で包み込むような鳴り方とは対照的に、音の一粒一粒が浮き立つように描かれる。
これは、「余裕」ではなく「細やかさ」と「芯の強さ」で音楽を表現している印象です。
音楽を“構造”ではなく“生命”として描くアンプ
LUXMAN L-507Zには、新開発のLECUA-EXボリュームとODNF-u増幅回路が搭載されており、これが音の表情を驚くほど豊かにしています。
とくにジャズやロックでは、ベースの弦の振動、ホーンのブレス、そしてボーカルの唇の湿度まで、音楽の“現場”がリスニングルームに再現されるような体験。
MA7200では空間全体をどっしり包み込んでいた音が、L-507Zでは個々の音が立ち上がり、絡み合い、躍動する──
そんな違いがあります。
LUXMANを選んだ“いま”の私にとっての意味
MA7200は間違いなく名機です。
ただ、今の私が求めていたのは「雄大なスケール感」ではなく、音楽とのより親密な対話でした。
ラックスマンはそれを、技術と情緒の両面で提示してくれました。
L-507Zは、単なる“代替機”ではなく、音楽の聴き方そのものを変えてくれる存在です。
総評:「格上」ではなく「深まり」を選ぶ
L-507Zは、スペックやパワーでマッキントッシュに勝るわけではありません。
けれど、音楽をもっと“細部まで味わいたい”という気持ちに真摯に応えてくれるアンプです。
それは、ハイパワー路線とは異なる選択肢。
「音を聴く」から、「音楽を感じる」への移行。
私はこの変化を、決して“後退”とは思っていません。
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本記事は、私の再生システム(Esoteric K-05XD、B&W 805D4)との組み合わせでの印象です。
アンプ選びに迷われている方に、ひとつの視点として届けば幸いです。
I hope you like it.