リンク先のブログ「ろくすけの長期投資の旅」の記事(有価証券報告書のこの指標は地味に使えるかも!?)で気づきました。
有価証券報告書の第一部【企業情報】の「提出会社の経営指標等」の中にある「株主総利回り」という指標の存在と有用性です。
「株主総利回り」とは
英語ではTSR(Total Shareholder Return)
株式投資により得られた収益(配当とキャピタルゲイン)を投資額(株価)で割った比率を意味します。
私がブログでいつも重要性を強調している「トータル・リターン」ですね。
直近5年間のインカムゲインとキャピタルゲインの合計を、各事業年度末ごとに数値化したものになっていますので、「どの期間を切り取ってみても、長期投資家として報われるかどうか」についての目途をざっくり付けるのに、大変便利(ろくすけさん)です。
計算式は以下の通り
[上場企業がディスクロする際に従っている開示布令で規定する計算式]
当該指標の活用の仕方(エルの場合)
実際にどの様なものかは、各自、自分が投資していたり、投資を検討している企業の該当先をご覧になるのが一番良いですが、面倒な方はろくすけさんの上記リンク記事にテルモと任天堂の例が載っているので、ご参照ください。
過去5年間において
日本の株式市場の代表的な指数であるTOPIX(配当込み)等と比較されて表記されています。ちなみに、長くJASDAQに上場していた日本マクドナルドはTOPIXと比較していましたが、ダイキン工業は日経平均と比較。
私であれば
・まず、インデックス投資(TOPIX)をせずに個別株投資するからには、過去5年間(ローリング)において、常にTOPIXを上回るトータル・リターンを上げている企業に投資したい。(仮に「常に」が無理でも「過去5年中4年」は超過リターンを出している等)
・年ごとのブレが少ない銘柄が良い。ある年はTOPIXに比べて20%も高い超過リターンを出していたのに、2年後にはその超過リターンが消失している様なタイプの企業は嫌
・できれば「安定性」と「成長性」を兼ね備えた動きをしていることが理想
といった感度です。
上記の視点で改めて、自分のポートフォリオにある銘柄や過去に投資した先を点検してみると
高配当で人気の日本たばこ(JT)については、直近の有価証券報告書(第37期)において、過去5年全て比較指標に大幅に負けていました。
もし、この「株主総利回り」を用いて、投資先(候補)を足切りすれば、JTは間違いなく「落選」となります。
一方で、現在、業績・株価とも堅調な総合商社の多くは、安定的に比較指標を上回っており、なるほど「これだったら、投資していても安心」という様な気分になります(笑)
注意点
今回は、時間の関係もあり過去5年分しか自分が興味がある企業を調べてみませんでしたが、この「5年」という年数は、長期投資をする者にとっては「短い」期間です。
たまたま、直近5年は良好だったけど、その前の数年は酷い成績だった可能性だってあり、もし、本指標にご興味を持たれたら、より長い期間について、調べてみることをお勧めします。
(参考)
・伊藤忠商事:2019年3月期から開示
・ソニー:2019年3月期から開示
I hope you like it.