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個人資産運用における「繰延税金負債」について

企業会計の世界では、税効果会計と呼ばれるものがあります。

これが導入されたのは、平成12年ですから随分と昔ですね。しかも「平成」と言われても、もう「ピンと」こなくなりましたね(笑)

この中で、とても重要な概念に繰延税金資産・負債と呼ばれるものがあります。

(参考リンク)
【図解で理解】税効果の概要をゼロからわかりやすく解説(会計ノーツ)
【図解】繰延税金負債とは?わかりやすく解説します(会計ノーツ)

別にこの事に詳しくない方は、詳しく知る必要はありませんが、もしご興味があれば上記リンク記事をご参照ください。

今回、取り上げる「繰延税金負債」とは「課税が後回しになっている場合の、その支払い見積額」を示す負債のことを意味します。

企業で言えばバランスシートに載っている「負債」の一つ

これ、個人にもありますよね。そう、含み益のある有価証券にかかる将来支払うべき税金です。

ケーススタディ

<ケース1>
Aさんは投資歴10年の個人投資家。たまたま、去年投資した米国テスラ社の株式が「あれよあれよ」という感じで上昇。自分でも想定外の「億り人」になりました。保有するのは株式のみで時価はちょうど1億円です。
自分で投じたお金は2,000万円ですが、5倍になって笑みがこぼれる毎日です。奥さんとは、以前からマンションを新築(予算1億円)で買う相談をしていましたが、予定より大幅に早く実現しそうで、奥さんも大喜び。旦那の株も上がっています。

・保有有価証券の時価:10,000万円
・投資額:2,000万円
・含み益:8,000万円

<ケース2>
Bさんは投資歴40年の個人投資家。2年ほど前に退職し現在は再雇用され働いています。奥さんも公務員で収入はダブルインカム。資産運用は個別株式には全く手を出したことはなく、日本のバブル崩壊の頃から毎月コツコツと積立投資を継続。長く続いた日本株投信の含み損は解消したばかり。数年前、投資ブログ「【L】米国株投資実践日記」を見たのがきっかけで、米国株ETFに投資を開始(笑)。節約体質の家計で、これまで投資してきた元本が大きい(8,000万円)こともあり、直近自分でも想定外の「億り人」に62歳でなることができました。保有する投信・ETFの時価はちょうど1億円です。親から相続した戸建ての老朽化が酷く、建て替えを行う予定です。

・保有有価証券の時価:10,000万円
・投資額:8,000万円
・含み益:2,000万円

家にお金を使うぞ!あれ?

では、これから、AさんとBさんはぞれぞれ住宅にお金を使うため、保有する有価証券を売却することとなりました。

ここでは、単純化するため「全額売却」「分離課税の税率はジャスト20%」としておきます。

<Aさんの場合>
含み益8,000万円に2割の税金がかかりますので、1億円売却後の手取りは8,400万円となります。

<Bさんの場合>
含み益2,000万円に2割の税金がかかりますので、1億円売却後の手取りは9,600万円となります。

そうなんです。売却する前の時価は同じ2人でしたが、実際に使う時が来たら、含み益の少ないBさんの方がむしろ1,200万円もAさんより多くお金を手にするのです。

ですから、Bさんのご家庭であれば、あと少し工面すれば1億円の住宅投資は可能ですが、Aさんのご家庭の場合には目算が狂う可能性もありそうです。

「繰延税金負債」を意識しておく

最近、好調な内外の株式市場の状況を受けて、資産が増えて喜んでいる個人投資家も増えてきました。何を隠そう、私も3月に構築した米国株ポートフォリオの中から早くも4つダブルバガー(2倍)になる銘柄が出るなど、Aさんほどではないですが、過去最高水準の含み益(率ではなく実額)となっています。

なので、Aさんの様なことにならないため、時々、実際に売却した時手にすることができる金額=本当の資産ということを確認したいと思います。

貴方もまだ「億り人もどき」かもしれませんぞ。

(参考)
「株式譲渡益への税率」は過去どう変わってきたのか?他の先進国の税率は?(大和ネクスト銀行)

I hope you like it.

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