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【速報】バークシャー、日本の総合商社株を5%超取得!

Lazare / Pixabay

8月の最終日、海外からビッグニュースが舞い込んできました。

バフェット氏の投資会社、日本の5大商社株を5%超取得(日経)

現段階で判明していること

日経など複数のメディアが報じるところでは、

・ウォーレン・バフェット氏率いるバークシャー・ハザウェイが完全子会社National Indemnity Companyを通して日本の商社5社に投資したと31日発表した。

・バークシャーは同日、関東財務局に大量保有報告書を提出することを明らかにした。発行済み株式数の約5%超の保有を公表したのは、伊藤忠や三菱商事に加え、三井物産、住友商事、丸紅の5社。過去12カ月間にわたって買っていたとしている。バークシャーは声明で最大9.9%まで持ち分を高める可能性があると述べた。投資先の取締役会の承認なしには、それ以上は買い増さないとも説明した。

・バフェット氏は発表文で、「バークシャー・ハサウェイが、日本や投資先として選んだ日本の商社の未来を共有できることをうれしく思う」とコメント。「5大商社が世界中で多くの合弁事業を手掛けており、こういった取り組みをさらに増やす可能性がある。将来、相互利益の機会が生まれることを期待している」との見解を示した。

ということです。

以下、私見などを述べたいと思います。

初の日本企業への本格投資

バークシャーのこれまでの投資先と言えば、アメリカが中心であり、アジアに投資する場合でも、日本ではなく中国や韓国の企業でした。

ごく例外は、タンガロイです。タンガロイ(旧東芝タンガロイ:2004年上場廃止)は東京電力福島第1原子力発電所の南40キロメートル余りに本社・工場を構える超硬工具大手であり、2008年11月、超硬工具で世界2位のイスラエルのIMCグループに買収されました。その2年前の2006年、IMCにはバフェット氏が当時の邦貨換算で4800億円を投じて、8割の株式を取得しています。

ちなみに、2011年にバフェットがタンガロイを初来日の場所として選んでいましたが、東日本大震災のためキャンセルになったエピソードは有名です。

今回の商社株への投資は、これまで日本株に消極的なスタンスを取ってきたバークシャーとして、実質初めての本格投資となります。

投資総額

今回投資した5社の時価総額合計は約13兆円ですが、5%相当で計算すると約6,500億円となります。なるほど6,500億円と聞けば大きな金額ですが、バークシャーの約14兆円とも言われる手元資金をもってすれば、実は全株手中に収めることができますので、バークシャーからすれば、経営に与えるインパクトは限定的です。

それでも、今日の日本の株式市場では、当該5社の株式は軒並み高騰しており、「バフェット」の御威光を改めて知らしめました。

コングロマリットがコングロマリットに投資

バークシャー・ハサウェイは、多岐にわたる事業を展開する複合企業の代表格ですが、日本の総合商社各社もそれこそ宇宙から食品まで、実に様々な事業を展開するコングロマリットであるという点が面白いと思いました。

コングロマリット・ディスカウントされ続けた商社株

業態に「総合」とつく企業は商社に限らず、様々な事業を営むが故に、事業内容が一般的に投資家から理解されなかったりで、各事業の価値を単純合計したよりも、しばしば割り引いた市場評価となっています。

特に、総合商社の場合、伊藤忠商事を除きPBR1倍割れ、すなわち解散価値よりも低いマーケット評価が常態化しています。果たして、今回のバークシャーによる投資によりどの程度評価見直しが進むのかは見ものです。

コモディティへの投資?

本日の発表を受けて、一部では総合商社への投資=コモディティへの投資と解釈した向きもあるようです。確かに、三菱商事の原料炭やLNG、三井物産の鉄鉱石・原油など、総合商社のビジネスは我が国の資源確保の面で多大なる貢献をしていることは間違いありません。ただ、リーマンショック前に発生した資源バブルとその崩壊によりかなりのダメージを受けた各社は、コモディティへの依存度を下げる方向に経営の舵を切っています。(この面で最も成功していると評価されているのが伊藤忠)

こうしたことや、もし、コモディティへの投資をしたいのであれば、中国のペトロチャイナやオーストラリアの資源企業など他にもたくさんの候補企業があったと思いますので、投資理由が「コモディティ投資」のみに着眼されたものではなく、冒頭のバフェットのコメントにあるように「5大商社が世界中で多くの合弁事業を手掛けており、こういった取り組みをさらに増やす可能性がある。将来、相互利益の機会が生まれることを期待している」といったところへも期待があると感じます。もっと素直に表現すれば、世界経済が回復した時恩恵を受ける企業の株式で、現在「不人気」であるため安く買える株式を買ったということだと思います。

いずれにしましてもバフェット・バークシャーの日本への初の本格投資が、ソニーでもトヨタでもセブン&アイでもなく、総合商社であったという点には注目したいと思います。

90歳の長期投資?

8/30はバフェットの90歳の誕生日でした。盟友チャーリー・マンガー(96歳)ともに、恐るべきおじぃちゃんですが、アメリカ人の平均寿命を既に軽く超えた年齢からすれば、バフェットの余命は残り僅かしかありません。おそらく、天国に行く前に完全に引退する可能性もあります。そうしたことからしても、今回の投資が最大9.9%まで持ち分を高める可能性がある長期投資だと言われても、実際のところは分かりません。

ちなみに、先ほど名前を出したペトロチャイナなど比較的短期保有で終わるケースも、過去には結構ありました。

エルの投資履歴

日本株にはアーリーリタイアした2019年から再び本格的に取引するようになりましたが、2019年以降、今回名前の出た5社全てに何らかの形で投資しています。(ただし、金額は小さくトータル10万円ほどのキャピタル・ゲイン)

本投稿時点では伊藤忠商事のみ現物で少し保有しています。

投資した理由としては、やはり「割安さ」に着目したからです。(もちろん違う場合もありますが)しばしば商社のコモディティ投資などは「高値掴み」が指摘され、減損を計上することもよくあり、帳簿価格をそのまま信用できませんが、そうしたことを考慮しても、もう少し株価は高くても良くね〜というのが正直なところです。

最後に

以上、取り留めもなく、書いてきましたが、バークシャーが「日本株」に初めて投資した意義は大きく、他の割安株にも影響が波及する可能性がありそうです。

ただ、総合商社のビジネスモデルからしても、これらの会社の業績が今後急速に回復して株価がぐんぐん上昇!なんてことは期待薄で、おそらく「株価の水準訂正」が起こり、下値が堅くなる。そんなことをイメージしています。

去年、バークシャーが起債すると目にした時、おや?と思いましたが、こういうことだったのですね。
バークシャー、初の円建て債4300億円 海外企業で最大(日経:2019/9/6)

I hope you like it.

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