つばめ投資顧問の「顧問」に就任

【ブックレビュー】全面改訂 ほったらかし投資術 インデックス運用実践ガイド

この記事は約4分で読めます。

この本が世に出たのは、2015年6月ですから、もう2年以上前になります。

当時、旧アドレスで感想を記事にしていますが、ブログ記事の実質的な移管の一環で、こちらで再掲(軽微な修正あり)しておきます。

本書は発売日と同時にkindle版で購入し速読しました。

以下、当時の記事をほぼ再現。

本書は2010年12月に発行された『ほったらかし投資術 インデックス運用実践ガイド (朝日新書) [新書]』 の「全面改訂」版となっている。

辛口経済評論家の山崎元氏と著名インデックス投資ブロガーが共著となった本書。これから相当の数の書評等がブログに掲載されると思われ、ここでは詳細な内容には触れず私の「感想」を書くにとどめたい。

1 前著に比べると内容は平易になった

・山崎元「ホンネの投資教室」の第246回(個人のインデックス投資、4年間の進歩〜「全面改訂 ほったらかし投資術(朝日新書)の変更点〜)で山崎氏本人が今回の改訂経緯等について書いているが、4年半の間の環境変化(多くの有力新商品の登場、ネット証券での外国株式の特定口座対応、NISAの実現等)を踏まえたものとなっている。
・本書あとがきで共著者の水瀬氏が「インデックス投資の始め方はより分かりやすく、理屈部分はより掘り下げ、経験談はより豊富に、商品ガイドは最新に、構成は両著者の文章を織り交ぜて読みやすく・・・」と書いている通り、内容は初心者にとってわかりやすくなった。

2 山崎節がやや物足りない

・前著は山崎氏が理論編を担当し、実践編は水瀬氏が担当する役割分担を行っていたが、今回は両者が混在するかたちに構成を変更している。
・そのせいか、もしくはより初心者を意識したためか、理論的な部分の説明は深みに欠ける印象。これは、私にとってはマイナス評価であるが一般読者にとってはプラス評価の側面の方が大きいと思われる。

・なお、本書にもブログが紹介されている「投信で手堅くlay-up!」のじゅん@さんは、今回の構成の方が読みやすいと感想(参考:全面改訂で帰ってきた!山崎元/水瀬ケンイチ著「ほったらかし投資術 インデックス運用実践ガイド」)を述べているが、私は同じ文章の中で「山崎」「水瀬」の主語が頻繁に出てくるのは少々読みにくく感じた。

3 本書で推奨されるポートフォリオは著者のポートフォリオとは大きく異なる

・まず、本書まえがきで「資産運用やマーケットにコメントする仕事をしている関係から自分の資産をリスク商品にほとんど投資していません。」と山崎氏が正直に書いているとおり、山崎氏個人の金融資産は預金等無リスク資産で殆どが占められている。
・また、自称「零細投資家」の水瀬氏は一定の比率で、インデックスファンドを毎月積み立て続けた結果「コツコツ積み立てた投資元本に対して、現在、利益だけで高級車が何台も買える程度」になっているとのことであるが、彼の実際のポートフォリオは本書で提唱される「リスク資産」の基本的な配分(内外の株式インデックスファンドを50%ずつ)とは異なる点に留意が必要である。
(参考:梅屋敷商店街のランダム・ウォーカー

・なお、日本株に50%前後配分するのが理論的もしくは実証的に正しくても、日本が抱える震災等災害リスクの高さを鑑み、私個人はこの配分を全く支持しない。

4 インデックスファンド、ETFの「ミナセ・シュラン」は重宝

・第3章「商品ガイド編」では、コスト、純資産、利便性などを総合的に評価し、2015年5月時点で、投資に値すると思われる具体的な投資候補ファンドが紹介されている。(追記:現在では陳腐化は否めず)
・最新データに基づくものであるため、これは便利。ただし、もう少し数が多ければより良かった。(個人的にはここでは紹介されなかったバンガードの生活必需品セクターETFのVDCなんかが面白いと思っている。横道に逸れて申し訳ない。)

5 総じて既知のことが多かったが、第4章は知らないことが多く勉強になった

・「マニア向けの特別付録」と銘打っているだけあって、第4章「ETFの現場を知りたい!」は、山崎・水瀬の両氏が日興アセットマネジメントのETFセンター長に対して、ETFの具体的な組成方法やルール等かなり専門的な領域まで踏み込んでヒヤリングしており、興味深かった。

6 総合コメント

・最初に書いたとおり、全体として以前に比べて、より初心者にとって読みやすい内容になっていると思われる。(それでも、投資本を全く読んだことのない人には難しい部分は含まれている。)
・一方、私にとっては既知の内容が多く個人的な満足度は★★★☆☆。しかし、コンパクトな新書にこれだけ多くの情報をまとめている点、そして何より類書が殆どないという点で本書「ほったらかし投資術」が初級者向けの投資本として広く推奨できる点は変化なく、弊ブログの人気記事「【保存版】オススメ投資本10冊(初級者編)」は全面改訂版に差し替えを行うこととする。

I hope you like it.

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この記事を書いた人
エル

50代、4人家族。1991年株式投資を開始。リーマンショックの影響により過去最高の含み損を抱えるも、2009年末に復元。2011年レバレッジ投資(両建て投資)終了。2019年セミリタイア。現在は米国株を中心に運用中。趣味は読書で「積ん読」は数百冊を誇る。音楽や映画鑑賞も好きです。

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