本書は、2011年最初に旧ブログで紹介した本(投資本)です。
内容は大変充実しており、個別株投資(特に日本株)を行っている方には、自信を持ってお薦めしたい一冊です。
内容的には、著者が以前出した『井手正介のバリュー株入門』の詳細版といった趣の本です。
筆者が提唱するバリュー株投資は、ベンジャミン・グレアムやウォーレン・バフェットが実践してきた手法を、現在の日本に合うように修正したもの。
バフェットは、割安な優良株のことを「エクイティ・ボンド」と呼び、当該株式への投資をハイリスクなものとしてではなく、預金や債券といった代表的な安全資産の延長線上に位置づけており、筆者も「長期預金」と言い換えています。
現在、株式投資については本のタイトルにもなった「敗者のゲーム」という考え方が広く受け入れられており、インデックス・ファンドへの投資が(多くの)個人投資家にベストな選択肢であると言われています。
しかし、著者は例えば日経平均を構成する225銘柄の中でも、バリュー株の基準を満たしているのは2割前後にすぎず、我が国ではインデックス・ファンドも「負けゲーム」であるとの考え方に立っています。
MPTの巨匠ウィリアム・シャープ教授とバリュー株投資のシドニー・コトル(あのグレアムの『証券分析』を1962年に改定した際の共著者)の両氏に薫陶を受けたこともある著者は、日本の株式市場の効率性には疑問を呈しています。そして、ROEが高い等の一定の条件を満たした少数の企業(10銘柄程度)に投資し、割安でなくなるまでは保有し続けるというスタイルと具体的な方法について解説したのが本書です。
買って損のない一冊と言えるでしょう。
なお、本書は私の【保存版】オススメ投資本10冊(中級・上級者編)に選定しています。
I hope you like it.