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『結局、老後2000万円問題ってどうなったんですか?』読了

サンマーク出版から2022年4月発刊されたばかりの本、著者の岩城みずほさんから送っていただき、読了しました。

お金の知識が乏しい人でも、大事な点がすんなりと頭に入ってくる。そんな感じに仕上がっていたので、ブログ読者にもご紹介したいと思います。

本書構成

本書は日頃中立的な立場で相談業務や講演活動を行なっているファイナンシャルプランナーである著者のもとに、33歳の書籍編集者(男性)が相談に来たことがきっかけとなったようです。

そして、もう一人、まもなくシングルマザーになるという40代後半の女性も加わって、お金の知識に乏しい二人に著者が先生役となって、素朴な疑問点から易しく解説していくスタイルとなっています。

本のタイトルにもなっている「2000万円問題」の真相

本書では、まず、金融庁の金融審議会市場ワーキング・グループが2019年に発表した報告書を巡って、「老後は2000万円足りなくなると政府が認めた」とメディアなどで大きく取り沙汰された「老後2000万円問題」を取り上げ、この問題が起こった背景や実際などについて解説します。

この報告書のもととなった総務省の「家計調査」は「標本調査」(あくまで一部抽出された世帯が調査対象)であって、この調査の平均値をそのまま自分に当てはめても意味がないこと、本来は「一人ひとりのライフプランに合わせた資産形成」の必要性について啓蒙することが真意であったことなどを解説しています。

この「老後2000万円問題」をいいことにして、不安を煽ってくる営業マンに対して、言いなりにならないための知識を身につけましょう!という序章です。

本書の良い点など

本書のタイトルだけでは、本書の中身がよくわかりませんが、これからお金の準備をしていくための基本的な道筋について、必ず理解しておくべき重要点を解説する書となっています。

公的年金について解説

一般的にこうしたお金の本、投資本では、いきなり運用の話から入るものが多いですが、本書では資産運用をしない人含めた全ての人に関係のある「公的年金保険制度」(以下、「公的年金」とする)について、その本質は「長生きリスクに備える保険」であるとした上で、民間の個人年金保険(その性質は実は貯蓄)との違いや、年金の財源、5年ごとの財政検証の仕組み、さらには「年金定期便」の見方までフォローしています。

私もこの公的年金のことを正しく理解することは非常に大事だと考えていて、「自分が年金をいくら受け取れるかを知ることが、不安を取り除く第一歩」だと強く共感します。

必要貯蓄率は「人生設計の基本公式」で計算

生きている間、ずっともらえる公的年金のことを理解したら、次は一人ひとり状況が異なる自分のお金のプランニングに関する話題に入っていきます。

働きながら、日々の生活に必要なお金などを使いながら、将来に向けて貯蓄を行なっていく。しかし、この必要な貯蓄額は人によって異なってきます。

本書では、年金額含む6つの数字を使って、「毎月どれくらい貯めるといいのか」(=必要貯蓄率)を簡単に算出してくれる方法を提示

QRコードも載せてあるので、計算は楽チンです。

保険に関する説明が適切

日本人は世界の中でも稀なほど大の保険好きなのは有名ですが、保険はいたずらに多く加入するものではありません。

本書では、民間保険はあくまで充実する公的保険で足りない部分を「補う」という考え方で加入するべき、との考え方を明確にしています。そのためにも、公的年金の性質が「保険」であり、公的年金には長生きリスクに備える老齢基礎年金だけでなく、ケガや病気になったときに備える「障害基礎年金」や、家族を支える働き手が亡くなったときに備える「遺族基礎年金」としての機能も併せ持つことを理解する必要性を強調しています。

その他

本書では、誰でも始められる「お金の人生設計の5つのステップ」を以下の通り提示しています。

1.「人生設計の基本公式」で自分の必要貯蓄率を知る
2.公的年金保険制度をベースに「お金の計画」を立てる
3.お金の置き場所を作る
4.運用は「長期・分散・低コスト」で
5.「なるべく長く働いて公的年金を増やす」と「自助努力で資産形成」は両輪で

このうち、1.と2.については言及しました。

「お金の置き場所」というのは、「流動性」「安全性」「収益性」に応じて、普通預金、定期預金や個人向け国債、そして株式・投資信託に分けて資産を持とうという話です。

運用に関しては、基本、つみたてNISAの対象となるようなインデックスファンドに長期投資していきましょうという内容です。

最後に

上記の通り、運用商品の解説などに重きを置くのではなく、もっと重要な公的年金や民間の保険との関わり方などにページを多く割いた内容となっており、これまでお金に無頓着だったという人にとっては、「目覚め」の一冊として好適だと言えるでしょう。

なお、公的年金について、より詳しく知りたい方は以下の本・記事をご参照ください。
(参考)知らないと損する年金の真実

I hope you like it.

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