旧ブログを完全閉鎖したため、過去の遺産を新アドレスに移しました。
今回は、2013年に読んだ本の中で、私の「満足度」が高かったものを改めてご紹介します。
【ノンフィクション】
最初は、好きなジャンルのノンフィクションから。私はノンフィクション・リアルな現実の方は主に本で、一方、フィクションの世界は主に映画で楽しむタイプです。
1冊目は、満足度★★★★★だった本をご紹介します。
・ 著者は、元大リーガーの松井秀喜氏がファンとして慕う伊集院静氏。世代の離れた二人の間の友情、「松井」の成長を支えた周りの人々、そして、何より彼の真摯な生き様に感動しました。
・男「松井」を思い浮かべながら読みたい秀抜なエッセイです。
・言わずと知れた2013年の大ベストセラー。読む人の立場や年齢・経験によって、様々な読み方ができる本書は、男女の区別なく、また、幅広い年代の方に間違いなくお薦めできる一冊です。
・元三井住友銀行頭取、元日本郵政社長の自伝。著者の新人時代から、郵政改革に関わる時期までをカバー。「破綻処理と再生」がキーワードとなる彼の職業人生を通じて、ビジネスマンとしての基本から、従来の枠に囚われないリーダーシップの発揮の仕方まで、多くの示唆が得られます。
・日本はずっと危機の連続であったことも実感できる一冊。
・ 有名ブログ「極東ブログ」管理人のfinalventさんの半生記。冴えなかった若い頃の話は非常に暗いのですが、結婚し家族を持った辺りから、まるでテレビの色が白黒からカラーに変わった様に変化します。
・無名の「ただの人」から「カリスマブロガー」と呼ばれる存在までになった彼(現在50代)の生き様は大変興味深いものでした。中年向けにおすすめ。
・最近はあまり読まないのですが、学生時代や20代の海外旅行によく行っていた頃、紀行文を愛読していました。その中でも、特に好きだったのが沢木耕太郎の『深夜特急』です。
・kindleで再読しましたが、バックパッカー姿で旅した私の「バイブル」であり、20年近く歳月が経っても、その良さは決して色褪せません。 旅がしたい!
【歴史】
次は歴史関係から。と言っても、あまり数を読んでおらず、紹介できる本としては1冊のみとなりました。(今後はもう少し当該ジャンルを増やしていきたいです。)
・2013年は、本書をきっかけとして池上彰氏の本を比較的たくさん読みましたが、この本が一番良かったです。湾岸戦争、冷戦、朝鮮戦争、文化大革命、ベトナム戦争等比較的最近の出来事が多いですが、今まであやふやだったことが非常にクリアになりました。
・池上先生、ありがとうございました!という感じになること請け合い。
【自己啓発】
何をもって「自己啓発」の本とするかは人それぞれですが、私自身の定義で選びました。
・大ベストセラーとなった『ストーリーとしての競争戦略 ―優れた戦略の条件 (Hitotsubashi Business Review Books) [単行本]』の著者・楠木建氏の力作。読書家でもある著者が、書評を通して戦略と経営の本質について、例によって「しつこく」語る内容です。
・巻末のロング・インタビュー「僕の読書スタイル」だけでも読む価値あり。随所に登場する本のタイトルはかなりの数にのぼり、本好きなビジネスマンには、たまらない一冊。
・「知の巨人」の一人として数えてもよい存在の佐藤優氏の本です。高校教科書の「大人」の活用法等参考になりました。ブックガイドとしても重宝します。なお、ブックガイドとしては『野蛮人の読書術 [単行本(ソフトカバー)]』(田村耕太郎)も東京大学EMPの課題図書を知ることができ、オススメです。
・kindleで安かったので気軽に買って読んだら、「予想外」に良かったのがこの本。ただの読書術の本ではなく「コンサルタント」のという冠がついているように、コンサルタントが実践する「最短の時間で最大の効果」を得る読書法について書かれています。買って損なし。
・京大名誉教授で歴史関係の本で有名な中西輝政氏の思考法に関する本です。歴史学者の書いた本というだけで敬遠する貴方・貴女。その反応は大いなる誤解です。
・物事の本質を見抜くための53の「考え方」 が簡潔かつ明瞭にまとめられています。幅広い層にお薦めします。
・続いては、2012年の読んで良かった本でも選んだ『媚びない人生 [単行本(ソフトカバー)]』を書いたジョン・キム氏の本です。
・「時間」という「最も貴重な資産」を意識した著者の「生き方」や思考方法がシンプルだけど深い言葉で綴られています。特に若い方にオススメです。
・子を持つ親の立場の人にお薦めしたいのが本書。我が子という「自分の親」「妻・夫」と並んで最も重要な存在に対して、どの様に接していけば良いのか、のヒントが得られます。
・本書が新刊で出版された1996年と今では時代背景の変化がありますが、父(親)という立場の方だけでなく、一人の大人として決して読んで損のない一冊。
・40代の方向けの本です。著者は銀行、コンサルなどを経て、現在、企業再生専門ファームに属する弁護士資格も有する経営コンサルタントの方。
・40代半ばにもなると、自分の職業人生もある程度先が読めてしまいますが、本書はそんな世代の方が読めば「ふむふむ、なるほど」ということが書かれています。タイトルが非常にベタですが、なかなか良いことが書かれていました。
・自己啓発のジャンルの最後は数少ない★★★★★の本です。タイトルが内容を正確に表しておらず、決して就職活動の参考書ではありません。「現在の日本の課題はリーダーシップの総量が不足していること」と看破し、リーダーシップについて書かれた本になっています。そう、リーダーシップは人生全般において重要だよと。
・外資系、それもコンサルタント会社での経験を踏まえて書かれたことを考慮しても、いろいろと示唆が得られると思います。
【働き方】
次は【自己啓発】とは一部重複する部分もあるジャンルですが、生活時間の最も多くを費やし重要な「働く」ことをテーマにした本の中からピックアップしました。
・本書は学生時代からNPOを立ち上げ、労働相談活動を行ってきた著者が、日本の過酷労働・違法労働の発生原因を一から探り、解決策について考察したもの。
・全ての働く者が知っておくべき、労働法、労働契約等の知識や、日本における労使関係の歴史的な経緯や問題について非常に「しっかりと」書かれています。新書なのに中身が濃い一冊。
・続いては、カリスマブロガー「ちきりん」の本。『ワーク・シフト ― 孤独と貧困から自由になる働き方の未来図〈2025〉 [ハードカバー]』以降、働き方に関する本が多く出版された2013年ですが、「人生90年時代」が展望される今、「人生を二回、生きよう!40代で自分オリジナルの人生を始めよう!」とのコンセプトで書かれています。
・本書も「ちきりんクオリティ」の一冊であり、特に、40代の方にオススメ。
【経済】
今度は経済関係の本の中から。だんだんと、投資ブログらしくなってきました。
・著者は慶応大学教授の池尾和人氏。ライフネット生命の出口治明さんが超推薦していたので読みました。
・池尾氏らしく、一般読者が読んでも分かり易い説明ぶりです。でも、中身はしっかりしていました。
・ 次はあまり読んだ人は多くないと思われる本の中から。もうすぐ退任しますが、ベン・バーナンキFRB議長が大学生向けに連邦準備制度等について講義した内容をまとめた非常に貴重なもの。
・FRBの一挙手一頭足が注目される中、蘊蓄も語れる一冊になること請け合い。
・いわゆる「未来予測」の本です。本書も出口治明氏が「この本さえ読んでおけば、今後40年間に起こるチェックすべき項目を見逃すことはない」と太鼓判を押しています。
・本書は非常に分厚くて、購入してから読むのに最も時間のかかった本のひとつです。ですが、その分読んだ後の満足度も高く、手元に置いておいて損はないでしょう。
【経営】
今度は経営に関する本です。自ら経営する立場の方はもちろん、自分では経営することはなくとも、経営する立場の思考回路を理解するのに資する本を選んでみました。
・Amazonのレビュー数の多さでもわかる通り、大変定評のあるビジネス書です。実際のケースを基にした経営再建のストーリーとなっています。文句なしにお薦めの一冊。 ★★★★★です。
・シェル石油、日本コカコーラ、ジョンソン・アンド・ジョンソンなどグローバルに事業展開する企業を渡り歩いてきた新(あたらし)氏が著者。
・時代が変わっても、変わらない「経営の原理原則」や非常に本質的なことが腹に落ちるかたちでまとまっています。
・一時期、若い人の間でもブームとなったドラッカーですが、読めば分かる通り、読み手に相応の経験と知識を要します。
・本書はドラッカーの思想・考え方を噛み砕いて、ドラッカー経営学の全体像(森)と本質(一本一本の木)が理解できるよう工夫されている良書。ドラッカーに再チャレンジしたい方にもオススメ。
(紹介記事)【推薦書籍】究極のドラッカー 國貞克則
・地域と共生する企業のお手本で、「いい会社」の代表的存在である伊那食品工業の会長・塚越寛氏が書いた本です。
・企業の存在意義や、会社と従業員の関係等大変示唆が得られました。「凡事徹底」の重要性を再認識。
・NPOという組織形態のもとで、新しいビジネスの「しくみ」を作り、社会そのものを変えていこうとしているのが、有力コンサルタント会社マッキンゼーを飛び出して社会起業家となった著者の小暮氏です。
・先進国の肥満と開発途上国の飢饉・栄養不足を同時に解決するというビジネスモデルの秘密や、裏に隠された苦悩を知ることができる好著。
【会計・財務分析】
2013年は久々にこのジャンルの本も基礎的なものに立ち戻って読んでみました。
・ 上記2冊とも財務諸表の細かいことに精通できる本ではありません。もっと大きな、基礎的だけど「一番大事なこと」がすっと理解できる本です。
・決算書のことがよく分からない方がメイン・ターゲットの本ですが、よく知っている人も「こんな説明の仕方があったのか!」と膝を打つこと間違いなしの良書です。
・ビジネスマンの必須知識のひとつ「会計・財務分析」。本書は、ROE、EBITDAマージン等の会計指標を経営の視点から理解し、実際に活用していくことを目的に書かれたもの。
・個別株投資を行う方は、これ位の知識は持っておきたい。
・この本は財務諸表のもう少し詳しいところを知りたいという方向けの本です。経理・財務関係の仕事をしている方なら、知っておきたい知識です。
・一方、一般の方でこの位のことが分かれば自慢できると思います。
【投資本】
ようやく、当ブログが得意とする(笑)「投資本」まで辿り着きました。疲れました(ふ〜。)。
・最初にご紹介する投資本は、2013年当ブログ経由で42冊(最高)売れた本です。やや、ほめ過ぎの感もありますが、詳細は紹介記事をご覧ください。
(紹介記事)『全面改訂 超簡単 お金の運用術』(山崎元)は中身が濃い一冊
・そもそも年金とは何か、確定拠出年金(DC)と確定給付型年金(DB)の違い、そして、DCにおける運用方法等について、実務者の立場から大変分かり易く書かれた良書です。
(紹介記事)『自分で年金をつくる最高の方法』(大江英樹)は価値ある良書
・ 本書は会社に「値段を付ける」ということはどういうことか、を資本主義というシステムの根本にまで立ち帰って解説。「企業価値」やM&Aに関しての基礎知識のまとめ方が秀抜です。
・世間には為替に書かれた本はたくさんありますが、本書は机上ではなく、実務者の視点から「生きた」為替の見方を教えてくれる本です。
・リスクオフの時になぜ円高になるのか?等の解説は分かり易くマーカー(kindleで読んだのでハイライト)を引きまくりました。
・元金融マン、そして、現在は大学教授の立場から、経済学のテキスト(机上の知識)と経済的事実の間を往来しながら、自ら個人投資家でもある著者が投資の実践経験も踏まえ明快に解説。
・いよいよ、最後の紹介の本となります。本書はいろいろな場所で人に薦めてきましたが、ブログでコメントするのは実は初めてです。
・「日本人ほどケチな国民はいない」と冒頭から刺激的な言葉や数字を使って、日本人のお金に関する態度・実態を読者に問いかけます。
・そして、投資というのは、決して自らの「利殖」のためだけに行うものではなく、社会、人のために行うものなんだよ、と。
・人によっては「お金観」「人生観」が変わってしまう位インパクトがあります。著者渾身の一冊。ぜひ、ご一読を!
以上です。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
I hope you like it.